壊れ物や精密機器の梱包でよく使われる「エアキャップ」。正しい使い方や選び方を知ることで、衝撃・湿気・水漏れなどから荷物をより確実に守ることができます。
本記事では、エアキャップの基本的な役割や効果的な使い方などを解説します。梱包の質を高めたい方や発送トラブルを防ぎたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
エアキャップとは

エアキャップとは酒井化学工業株式会社の登録商標で、正式名称を「エアーキャップ®」としています。一般的には「気泡緩衝材」と呼ばれる、プラスチック製のシートです。
エアキャップは、ポリエチレン製の薄いフィルムに空気を封入した構造で、優れたクッション性を発揮します。軽量で扱いやすく、透明で中身を確認しやすい点も特徴です。
壊れやすい製品や精密機器の輸送時に多く使用されるため、物流や通販の需要が拡大する現代の物流システムにおいて欠かせない存在となっています。
エアキャップの主な役割とは

エアキャップは、輸送中のさまざまなリスクから商品を守ります。その特性を活かした多彩な役割を見ていきましょう。
衝撃から梱包物を守る
エアキャップは、内部に封入された空気が衝撃を吸収・分散することで、輸送中の振動や衝撃から商品を守ります。
ガラス製品や電子機器など壊れやすい物品の保護に最適で、軽量ながら高い緩衝性を発揮します。慎重に扱う必要がある商品を扱う際には、必ず活用したい梱包材の一つです。
箱の隙間を埋める
エアキャップは箱内のすき間を埋めて荷物の動きを防ぎ、接触や摩擦による破損リスクを減らします。
輸送中は、隙間があると中の物がぶつかり合い、破損の原因となることがあります。エアキャップを使用することで、これらの隙間を埋めることができ、荷物が安定した状態で輸送されることが可能です。
軽量で扱いやすく再利用もできるため、環境にやさしい梱包材としても注目されています。
水漏れや湿気から梱包物を守る
エアキャップは防湿性に優れており、電子機器や書籍など湿気に弱い商品の保護にも効果的です。
長期間の保管や輸送時でも湿度変化から内容物を守り、品質を維持することができます。特に、雨や雪の影響を受けやすい環境での輸送時には、エアキャップを使用するとよいでしょう。
エアキャップのデメリット
便利な梱包材である一方、エアキャップには注意すべき点もあります。
透明のため中身が見えやすい
エアキャップは透明な素材のため、内容物が外から確認できてしまう点が課題です。配送中に中身が見えることで、盗難や破損のリスクが高まる可能性もあります。
特に、高価品や個人情報を含む荷物には、不透明フィルムや外箱との併用が望まれます。商品の特性や配送先の状況を考慮し、必要に応じて不透明な梱包材を併用して、リスクを最小限に抑えましょう。
かさばりやすくなる
エアキャップは軽くても体積を取りやすく、保管や輸送の際にスペースを圧迫します。特に、大きな物品を梱包する場合にエアキャップを多く使用すると、全体の体積が大きくなります。
大量使用時はコストや効率に影響するため、必要量を見極めることが大切です。近年は、小さく巻いたものやシート状になったものも登場しています。
長期保管の場合クッション性が低くなる
エアキャップは軽量で柔軟性があり、衝撃を吸収する特性を持っていますが、長期間の使用や高温多湿環境では、内部の空気が抜けてクッション性が低下することがあります。
長期間使用しない場合、エアキャップに包まれた物品は、衝撃や圧力に対する保護が不十分になることがあります。劣化した状態で使用すると保護力が落ちるため、定期的な点検と交換が推奨されます。
エアキャップの選び方とは

エアキャップを選ぶ際には、下記のようなポイントを考慮することが重要です。
形状で選ぶ
エアキャップには、シート状やロール状、袋状などのタイプがあります。
シート状は、あらかじめカットされた形状のエアキャップで、特定のサイズの梱包物に対して簡単に使用できます。ロール状は、必要な長さを自由にカットして使用できるため、さまざまなサイズや形状の物に対応できます。
小物にはカット済みのシートや袋タイプ、大型製品や不規則な形状にはロールタイプが便利です。形や大きさに合わせて最適な形状を選ぶことで、無駄のない梱包ができます。
粒の大きさ・強度で選ぶ
エアキャップは粒が大きいほど衝撃吸収力が高く、重い物や壊れやすい物に適しています。粒が大きいエアキャップは、長距離輸送や厳しい環境下で配送する際にも向いています。一方、小粒タイプは軽量品や細かい部品向けです。
フィルムの厚さが増すほど強度も上がるため、輸送距離や内容物に応じて選定しましょう。
梱包する物で選ぶ
エアキャップを選ぶ際には、梱包物の特性に合わせた選択も重要です。
ガラス製品や精密機器は「厚手・大粒タイプ」小さな部品やアクセサリーなどの軽量物には「薄手・小粒タイプ」が適しています。角のある品は二重巻きで補強し、形に沿わせて包むことで保護効果を高められます。
エアキャップの効果的な使い方

エアキャップは梱包材として非常に優れた特性を持っていますが、その効果を最大限に引き出すためには正しい使い方が重要です。ここでは、エアキャップを効果的に使用するためのポイントを3つご紹介します。
凸面を使い分ける
エアキャップの凸面は、内外どちらに向けるかで効果が異なります。
梱包物を保護する場合は、凸面を内側にして空気層で衝撃を吸収しましょう。一方、外装保護や擦れ防止が目的なら、凸面を外側にして使用します。
隙間なく包む
エアキャップは、密着させて包むことで衝撃吸収力を発揮します。
梱包物とエアキャップの間に隙間があると、輸送中に衝撃が直接伝わりやすくなり、商品が破損するリスクが高まります。そのため、エアキャップを適切に使い、隙間を埋めることが求められます。
角や突起部分は二重に巻き、動かないようテープで固定するのが効果的です。梱包物とエアキャップの隙間を埋めて、輸送中の破損を防ぎましょう。
複数回包む
高価品や壊れやすい商品は、エアキャップを二重・三重に巻くと安心です。層を重ねることでクッション性が向上し、長距離輸送や保管中の衝撃にも強くなります。
また、複数回包む際には、エアキャップの重なり部分をしっかりと固定することが重要です。重ねた部分はテープでしっかり固定しましょう。
まとめ
本記事では、エアキャップの基本情報からその役割、デメリット、選び方、さらには効果的な使い方までを詳しく解説しました。
エアキャップを上手に活用することで商品の安全な輸送を実現し、ビジネスの効率を向上させることができるでしょう。今後の梱包作業において、ぜひエアキャップを活用してみてください。