CFRとは?運賃込み条件の意味・CIF/FOBとの違い・実務ポイントを解説
CFR(Cost and Freight:運賃込み条件)とは、売主が貨物の原価と指定仕向港までの海上運賃を負担し、保険料は買主が手配するインコタームズの取引条件です。
輸出入実務において頻繁に使用される条件ですが、費用負担と危険(リスク)移転のタイミングがズレるという特徴から、理解不足によるトラブルも少なくありません。本記事では、CFRの定義・売主と買主の責任範囲・CIFやFOBとの違い・実務上の注意点を体系的に解説します。
CFRとは?

CFRの定義・旧称との関係・インコタームズ全体における位置づけを整理します。CFRの特徴を理解するための基礎知識です。
CFR(Cost and Freight)の定義
CFR(Cost and Freight)とは「運賃込み条件」と訳されるインコタームズの取引条件の一つです。売主(輸出者)が貨物の原価に加えて指定仕向港までの海上運賃を負担します。一方、海上保険料は売主ではなく買主(輸入者)が手配・負担するという特徴を持ちます。
日本では輸出入取引において広く使用されており、貿易取引の基本的な条件の一つとして実務担当者が必ず押さえておくべき条件です。
旧称C&F・CNFとの関係
1990年のインコタームズ改正以前は「C&F」と表記されており、現在も一部の取引でC&Fと呼ばれることがあります。「&」という文字がコンピュータ通信で扱いにくいため、1990年の改正でCFRに変更されました。
また「&」の代わりに「N」を用いた「CNF(Cost N Freight)」と表記されるケースもあります。C&F・CNF・CFRはいずれも取引条件としての内容は完全に同一であり、実務上はどの表記でも同じ条件を指します。
インコタームズにおける位置づけ
インコタームズ(Incoterms)は国際商業会議所(ICC)が1936年に制定した貿易取引条件の国際規則で、最新版は「インコタームズ2020」(2020年1月1日発効)です。全11条件が定められており、2つのグループに分類されます。
CFRは「海上及び内陸水路輸送にのみ適用する規則」に分類される4条件(FAS・FOB・CFR・CIF)のひとつで、海上輸送(船舶)に限定した条件です。航空輸送・陸上輸送・コンテナ輸送(複合輸送)には適用されません。
下表にインコタームズ2020の全11条件と各条件のリスク移転タイミングを示します。
| 分類 | 条件 | 日本語名称 | リスク移転タイミング |
|---|---|---|---|
| 全輸送モード | EXW | 工場渡し(Ex Works) | 工場・倉庫での引き渡し時 |
| 全輸送モード | FCA | 運送人渡し(Free Carrier) | 指定場所での運送人引き渡し時 |
| 全輸送モード | CPT | 輸送費込み(Carriage Paid To) | 運送人引き渡し時(輸出地) |
| 全輸送モード | CIP | 輸送費・保険料込み(Carriage and Insurance Paid To) | 運送人引き渡し時(輸出地) |
| 全輸送モード | DAP | 仕向地持込渡し(Delivered At Place) | 指定仕向地到着時 |
| 全輸送モード | DPU | 荷下ろし込み持込渡し(Delivered at Place Unloaded) | 指定仕向地での荷下ろし後 |
| 全輸送モード | DDP | 関税込み持込渡し(Delivered Duty Paid) | 指定仕向地到着時 |
| 海上・内陸水路のみ | FAS | 船側渡し(Free Alongside Ship) | 輸出港の船側での引き渡し時 |
| 海上・内陸水路のみ | FOB | 本船渡し(Free On Board) | 輸出港での本船積み込み時 |
| 海上・内陸水路のみ | CFR | 運賃込み(Cost and Freight) | 輸出港での本船積み込み時 |
| 海上・内陸水路のみ | CIF | 運賃・保険料込み(Cost, Insurance and Freight) | 輸出港での本船積み込み時 |
CFR条件における売主・買主の責任範囲

CFRでは売主と買主の費用・義務の分担が明確に定められています。それぞれの負担内容と実務上の注意点を整理します。
売主(輸出者)が負担する費用と手続き
売主はCFR条件において以下の費用と手続きを負担します。
- ①輸出通関手続きの実施と輸出関税の支払い
- ②輸出港(輸出地)までの内陸輸送費
- ③輸出港での船積費用(積み込み・荷役費用)
- ④指定仕向港までの海上運賃
- ⑤船荷証券(B/L)の取得と買主への提供
また、船積完了後は買主に対して速やかに船積通知(Shipping Advice)を送付する義務も負います。この通知が買主の保険手配のトリガーとなるため、遅滞なく通知することが実務上の重要なポイントです。
買主(輸入者)が負担する費用と手続き
買主はCFR条件において以下の費用と手続きを負担します。
- ①海上保険料(CFRに保険は含まれないため買主が自ら手配)
- ②仕向港での荷下ろし費用(THC:Terminal Handling Charge)
- ③輸入通関手続き
- ④輸入関税・消費税など
- ⑤仕向港から最終納品地までの内陸輸送費
CFRでは保険料が含まれないため、買主は船積通知を受領後、速やかに海上保険を手配する必要があります。この対応が遅れると「保険の空白期間」が生じるリスクがあります。
関税の仕組みについては、以下の記事で詳しく解説しています。
▶︎ 関税とは?仕組みや種類・計算方法・日本経済への影響をわかりやすく解説
費用負担と危険負担のズレ
CFRの最大の特徴は、費用負担と危険負担(リスク移転)のタイミングが異なる点にあります。
費用負担の観点では、売主は「仕向港への到着まで」の海上運賃を負担します。しかし危険負担(リスクの責任)は、「輸出港での本船積み込み時点」で売主から買主に移転します。
このため、貨物が海上輸送中に事故や損傷に遭った場合、運賃コストは売主が負担済みですが、その損害リスクは買主が負うという複雑な関係が生じます。この「費用負担と危険負担のズレ」の理解不足が、CFR取引における実務トラブルの主要な原因となっています。
CFR・CIF・FOBの違い

CFRと混同しやすいCIF・FOBとの違い、コンテナ輸送での適切な代替条件を整理します。
CFRとCIFの違い(保険料の負担)
CFRとCIFは費用負担・危険負担のタイミングが全く同じで、唯一の違いは「海上保険料の負担者」です。
CIF(Cost, Insurance and Freight:運賃・保険料込み)は売主が海上保険を手配し保険料も負担するのに対し、CFRは買主が自ら保険を手配する必要があります。
海上輸送や保険の手配に精通した売主の場合、CIFの方が有利な保険条件を取得できる可能性があり、結果的に双方の利益につながるケースもあります。
買主の視点では、CFRは保険会社や補償内容を自社で選択できる自由度がある一方、船積通知後に迅速に保険を手配しなければならない負担があります。
CFRとFOBの違い(海上運賃の負担)
CFRとFOB(Free On Board:本船渡し)は危険負担のタイミングが同じ(輸出港での本船積み込み時)です。違いは海上運賃の負担者にあります。
FOBでは買主が船会社を手配し海上運賃を負担するのに対し、CFRでは売主が船会社を手配し海上運賃を負担します。売主の視点では「FOB価格に海上運賃を加えたものがCFR価格」という関係性です。
CFRは売主の負担範囲がFOBより広くなる分、買主にとっては物流手配の手間が省けるメリットがあります。ただし、買主が独自の船腹を確保したい場合や特定の船社を指定したいなどの特別な事情がある場合、FOBが採用されることもあります。
CPT・CIPとの違い(複合輸送への対応)
CFRとCIFは海上輸送のみに適用される条件です。コンテナ輸送や航空輸送を含む複合輸送では、CFRに対応するのがCPT(Carriage Paid To:輸送費込み)です。
CIP(Carriage and Insurance Paid To:輸送費・保険料込み)はCPTに保険料を加えた条件で、CIFに相当します。コンテナ輸送でCFRを使用することは実務上不適切であり、インコタームズ2020においてもCPTまたはFCAの使用が推奨されています。
CFRの選択が適したケース
CFRは主に「在来船による大型貨物・バルク貨物(穀物・石炭・鉄鉱石等)の海上輸送」に適した取引条件です。
売主が船会社との強力な取引関係を持ち、有利な運賃で船腹を確保できる場合に選択されます。また買主が独自の保険会社・保険条件を指定したい場合にもCFRが選ばれます。
CFR取引の実務フロー

CFR取引における契約締結から船積・決済までの実務的な流れと注意点を解説します。
契約締結時に確認すべき事項
CFR契約締結時には、売買契約書に以下の事項を明記することが重要です。
- ①輸出港と仕向港の正確な名称(例:CFR Yokohama)
- ②インコタームズの年次(例:Incoterms® 2020)
- ③仕向港での荷下ろし費用(THC)の負担者
- ④船積期日と船積通知の期限
これらの記載が曖昧だと、費用負担をめぐる後のトラブルや決済遅延の原因となります。
船積通知(Shipping Advice)と保険手配のタイミング
売主は船積完了後、速やかに買主へ船積通知を送付する義務があります。通知内容には、船名・船積日・B/L番号・貨物の数量・仕向港到着予定日などが含まれます。
買主はこの通知を受領後、直ちに海上保険の手配を開始します。船積から保険付保までの空白期間に事故が発生した場合、補償を受けられない可能性があるため、迅速な対応が求められます。事前に包括保険(オープンポリシー)を手配しておくことで、この空白リスクを回避できます。
船荷証券(B/L)と信用状(L/C)の整合性
CFR取引では船荷証券(B/L)が最も重要な書類の一つです。B/LにはCFR条件では「Freight Prepaid(海上運賃前払い)」の記載が入ります。
信用状(L/C)取引の場合、B/Lの記載内容・通数・発行日などがL/Cの要件と完全に整合している必要があります。書類の不備は決済拒否・遅延の原因となるため、船積前にL/C要件を十分に確認することが実務上のポイントです。
荷下ろし費用(THC)の負担
標準的なCFR条件では仕向港でのTHCは買主負担となります。ただし「CFR Landed」と契約書に記載することで、THCを売主負担とすることも可能です。
THCは仕向港によって金額が異なり、数万円〜数十万円の規模になることもあります。双方で事前に負担を明確化しておくことがトラブル防止の鍵となります。
CFR条件のメリット・デメリット

売主のメリット・デメリット
売主にとって、自社の取引関係を活かして競争力のある海上運賃を確保できる点がメリットです。一方デメリットとして、FOBよりも負担範囲が広くなるため資金負担が増加し、海上運賃の高騰時はコスト増のリスクを直接受ける点があります。
買主のメリット・デメリット
買主にとって、船腹の手配や運賃交渉を売主に任せられ輸入業務に集中できる点がメリットです。デメリットとして、保険料を自己負担するため保険手配コストが必要になります。また費用負担と危険負担のタイミングのズレから、船積後の保険空白期間の管理が求められます。
CFR取引で起こりうるトラブルと対策
CFR取引では特有のリスクとトラブルが起こりやすいポイントがあります。実務上の注意点と対策を整理します。
保険手配の遅れによる損害補償の空白
CFRでは買主が保険を手配しますが、売主からの船積通知の遅延や買主の対応遅れによって「船積後・保険付保前」の空白期間が生じるリスクがあります。この期間に事故が発生した場合、貨物損害の補償を受けられない可能性があります。
対策として、①売主は船積後24時間以内に通知する条件を契約書に明記する、②買主は事前に包括保険(オープンポリシー)を手配しておく、の両方が有効です。オープンポリシーは個々の輸送ごとに保険契約を締結する必要がなく、空白期間を実質的に解消できます。
コンテナ輸送でのCFR使用の誤り
CFRは在来船向けの条件であり、コンテナ輸送には適していません。コンテナ輸送では本船積み込みの前にCY(コンテナヤード)で運送人に貨物が引き渡されるため、「本船積み込み時」というCFRのリスク移転タイミングが実態に合わなくなります。
コンテナ輸送での正しい取引条件はCPT(Carriage Paid To)です。インコタームズ2020においても、コンテナ輸送ではFCA・CPTの使用が明確に推奨されています。
現実の取引では「コンテナでCFR/CIFを使っている」事例が多数ありますが、リスク管理上は適切な条件への変更が推奨されます。
契約書記載の不備
「CFR」とだけ記載し仕向港が明記されていなかったり、インコタームズの年次を記載しなかったりする不備が実務では少なくありません。解釈のズレは費用負担・損害賠償をめぐる紛争に発展するリスクがあります。
売買契約書には必ず①輸出港・仕向港の具体的な港名、②インコタームズ年次(例:Incoterms® 2020)、③THCの負担者、④船積通知の期限を明記することが実務上の基本原則です。
CFR輸入の冷凍・冷蔵品と物流最適化
CFR条件で輸入される冷凍・冷蔵品では、保険手配とコールドチェーン維持の両方を買主が管理する必要があります。
CFR条件での冷凍・冷蔵品輸入の特徴
水産物・肉類・冷凍野菜・乳製品など、冷凍・冷蔵品もCFR条件で輸入されるケースが多くあります。CFRでは仕向港までの海上運賃は売主負担ですが、保険料と着地港からの内陸輸送は買主負担となります。
特に温度管理が必要な冷凍・冷蔵品では、海上保険においてリーファーコンテナの温度変化による損害をカバーする特約条件の付加が重要です。保険手配の際には通常の海上保険と異なる条件設定が必要となる点を事前に確認しておく必要があります。
着地港での冷凍・冷蔵品の一時保管ニーズ
CFR輸入では、貨物が着地港に到着した後、輸入通関・内陸輸送を経て国内販売・加工に向けて一時保管されます。冷凍・冷蔵品の場合、コールドチェーンを切らさないための温度管理された保管拠点が不可欠です。
EPA・FTAによる関税削減効果を活用して冷凍・冷蔵品の輸入量が増加傾向にあり、繁忙期や輸入物量変動時には着地港近隣の冷凍冷蔵倉庫の確保が課題となっています。通関前の保税保管にも対応できる拠点の活用が輸入コールドチェーンの安定化に貢献します。
食品物流の課題と最適化については、以下の記事で詳しく解説しています。
▶︎ 食品物流の基礎知識と最新トレンド|安全・迅速な配送を実現する課題と解決策
シェア型冷凍冷蔵倉庫を活用した冷凍・冷蔵品輸入の物流最適化
1日単位のスポット利用・従量課金制・1パレット単位から契約できるシェア型冷凍冷蔵倉庫「コールドクロスネットワーク」は、東北・関東・中部に展開しています。
CFR輸入で通関後の一時保管が必要な冷凍・冷蔵品に対し、需要変動に合わせた柔軟な倉庫利用が可能です。通関前の保税保管にも対応しており、EPA・FTA活用による輸入物量の変動にも臨機応変に対応できます。24時間365日の温度管理体制でコールドチェーンを維持し、CFR輸入者の物流最適化を支えます。
CFRに関するよくある質問(FAQ)

CFRとC&Fは何が違う?
取引条件の内容は全く同じです。C&F(Cost and Freight)は1990年のインコタームズ改正以前の旧称で、「&」がコンピュータ通信で扱いにくいためCFRに改称されました。CNF(Cost N Freight)も同じ条件を指します。
CFRとCIFはどちらを選ぶべき?
一般的にはCIFの方が買主の保険手配の手間が省けて実務上シンプルです。ただし買主が保険会社・補償内容を自社で選びたい場合はCFRが適しています。
コンテナ輸送でCFRを使ってもいい?
実務上は推奨されません。CFRは在来船向けの条件であり、コンテナ輸送ではリスク移転タイミング(本船積み込み時)と実態(CYでの運送人引き渡し時)が一致しません。コンテナ輸送にはCPT(Carriage Paid To)の使用が適切です。インコタームズ2020でもCPTまたはFCAが推奨されています。
CFRで保険を手配するタイミングは?
売主から船積通知(Shipping Advice)を受領した後、直ちに手配するのが原則です。ただし船積通知の受領を待っていると空白期間が生じるリスクがあるため、包括保険(オープンポリシー)を事前に締結しておき、船積通知受領後に申告する方法が実務的に有効です。
CFR Landedとは何?
CFR Landed(シーエフアール・ランデッド)とは、標準的なCFRに仕向港での荷下ろし費用(THC)も売主が負担することを付加した条件です。通常のCFRではTHCは買主負担ですが、「CFR Landed」と契約書に明記することで売主負担に変更できます。THC負担のトラブルを回避するために有効な記載方法です。
まとめ
CFR(Cost and Freight:運賃込み条件)は、売主が貨物の原価と仕向港までの海上運賃を負担し、保険料は買主が負担するインコタームズの取引条件です。
「費用負担は仕向港到着まで売主負担・危険負担は本船積み込み時に移転」というズレが最大の特徴であり、この理解が実務トラブル防止の基本となります。コンテナ輸送にはCFRではなくCPTを使用し、保険空白期間の管理と契約書の記載漏れ防止を徹底することが、CFR取引を円滑に進める鍵です。
編集・監修
コールドクロスネットワーク編集部
物流・倉庫業界の実務知識を発信する編集チームです。サプライチェーン領域の専門家、実務経験者、ライターの皆様に助けられながら、 「物流から世界をもっと便利に変える」を共に目指しています。
高田 直樹
物流事業の実務、経営に精通し、現場視点から本メディアの編集方針を監修。
鈴木 邦成
物流、ロジスティクス工学の専門家として、記事内容の学術的正確性を監修。