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災害時に必要な備蓄倉庫の備蓄量と計算方法|設置・管理のポイントも解説

災害対策として備蓄倉庫の準備を進めたいものの「どれだけ備えれば十分なのか」「保管スペースはどの程度必要なのか」といった具体的な設計で悩む方もいるでしょう。

備蓄は物資を揃えるだけでなく、想定人数や日数に応じた適切な数量の算出と、それを保管する倉庫環境の整備まで含めて検討することが重要です。

特に、災害時は従業員が一定期間施設内に留まることが想定されるため、備蓄量の不足や管理不備は、そのまま安全確保や事業継続に関わるリスクに直結します。

本記事では、備蓄倉庫に必要な備蓄量の目安や具体的な計算方法、保管スペースの考え方や設置・運用のポイントなどを解説します。

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    災害時に必要な備蓄倉庫の備蓄量の目安

    災害時に必要な備蓄倉庫の備蓄量の目安

    備蓄品は企業備蓄では3日分が基本的な目安で、より大規模な災害を想定して1週間分を検討する考え方もあります。 

    この「3日間」は単なる経験則ではなく、自治体の条例やガイドラインにも基づいた考え方です。東京都の東京都帰宅困難者対策条例では、従業員の施設内待機に備え、3日分の飲料水や食料などの備蓄を努力義務として定めています。

    参考:東京都帰宅困難者対策条例「第7条2項」

    ここでは、備蓄すべき物資の数量の目安について解説します。

    食料・飲料水の備蓄基準


    最も基本となるのが生命維持に関わる物資です。飲料水は1人あたり1日3リットルが目安で、3日分なら9リットルになります。これに加え、手洗いや簡単な調理に使う生活用水も加味する必要があります。

    非常食は調理不要、あるいは保存水で調理できるアルファ化米、レトルト食品、乾パン、缶詰などを揃えます。近年はアレルギー対応食や、ストレスを軽減するための菓子類(チョコレート等)を混ぜることも重要視されています。

    医療品・衛生用品・生活必需品


    食料以上に不足して困るのが、衛生に関わる物資です。停電や断水で水洗トイレが使えなくなる事態は避難環境を急速に悪化させるため、簡易トイレは1人1日5回分を目安に凝固剤付きのものを多めに確保します。

    医療・救急用品は包帯、消毒液、解熱鎮痛剤、ばんそうこうのセットに加え、マスクや消毒用アルコールも必須です。

    生活必需品としては毛布(アルミブランケット)、ポータブルラジオ、大型のモバイルバッテリー、懐中電灯、乾電池を揃えます。最近では通信環境を維持するための衛星通信端末(Starlink等)を備蓄倉庫に配備する企業も増えています。

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      災害時に必要な備蓄倉庫の備蓄量の計算方法

      備蓄量は単純な従業員数だけでなく、従業員に当日の来客者・協力会社スタッフ、地域貢献を行う場合は近隣住民の数も加えた滞在想定人数をベースに計算します。計算式は「想定人数×(3〜7日分)×1人あたりの消費量」です。

      たとえば、従業員100人の会社で3日分を確保する場合、飲料水だけで900リットル(2Lペットボトル450本)という膨大な量になります。同条件で必要となる備蓄の全体像は、主食約300食(1日1食想定の場合)、毛布100枚、簡易トイレ約1,500回分(1人1日5回×3日)といった規模になります。

      これだけの物資を収めるには、相応の平米数を持つ専用の備蓄スペースが必要です。

      備蓄は「3日」その後は物流で支える仕組み

      災害対策における備蓄は、発災直後の3日間を自力で乗り切るための備えと、その後の物流による供給体制を一体で設計することが重要です。

      一般的に備蓄は3日分が基本とされており、これは発災直後の混乱期に外部支援が届くまでの期間を想定したものです(より詳しくいえば、企業向けは3日分が基本、1週間はより強い備えとして位置づけられます)。

      その後は、国や自治体による「プッシュ型支援」などにより、物資供給が段階的に行われる体制へと移行します。

      実際の災害では、支援物資は物流倉庫などの拠点を経由し、広域拠点から地域拠点、そして避難所へと段階的に配送されます。このため、備蓄倉庫は単体で完結するものではなく、物流の仕組みと連携して機能することが前提となります。

      特に、民間の物流倉庫は荷役設備や在庫管理のノウハウを活かし、物資の集積・仕分け拠点として重要な役割を担っています。

      参考:内閣府(防災担当)「令和6年能登半島地震における物資調達・輸送の状況」

      災害時に必要な備蓄倉庫の面積の目安

      備蓄倉庫の設計においては、必要な物資量だけでなく、保管に必要な面積の目安も把握しておくことが重要です。

      都市開発に関する指針では、備蓄倉庫の面積は原則としてその階の用途面積の約0.001倍以上を確保することが望ましいとされています。

      たとえば、1フロアあたり2,000㎡のオフィスであれば、少なくとも約2㎡以上の備蓄スペースが必要です。また、複数階にまたがる場合は、対象となる階の面積を合算して計算することも可能です。

      ただし、この数値はあくまで最低限の目安であり、実際には備蓄量や運用方法によって必要なスペースは大きく変わります。特に企業の場合は、飲料水や非常食に加え、毛布や簡易トイレなどかさばる物資も多いため、余裕を持ったスペース設計が求められます。

      参考:東京都都市整備局「都市開発諸制度の適用に関する防災都市づくりに係る規定の取り扱い指針」

      災害時に機能する備蓄倉庫の設置場所と設備要件

      災害時に機能する備蓄倉庫の設置場所と設備要件

      備蓄倉庫は、いざという時に「使える状態」でなければ意味がありません。立地と環境がその価値を左右します。

      安全性を重視した立地選び


      設置場所を選ぶ際、ハザードマップの確認は絶対条件です。浸水リスクについては、洪水や高潮の恐れがあるエリアでは1階や地下に設置するとせっかくの備蓄品が水没して使えなくなるため、2階以上の階層やかさ上げされた場所への設置が基本です。

      耐震性については、倉庫そのものが倒壊したり重いラックが倒れて物資が取り出せなくなったりしては本末転倒です。免震・制震構造を持つ建物内への設置、あるいは強固な基礎を持つ屋外型倉庫の選定が必要です。

      また、備蓄倉庫の設置にあたっては、建築基準法上のルールも押さえておく必要があります。防災専用の備蓄倉庫は、一定の条件および範囲のもとで、その床面積を延べ面積に含めなくてよいとされています。

      ただし、防災専用であることや、他の用途と明確に区切られていることなどの条件があるため、設計段階で確認しておくことが重要です。

      参考:国土交通省「建築基準法施行令の一部を改正する政令等の施行について(技術的助言)」

      温度・湿度管理と保管環境


      意外と見落とされがちなのが、長期保管による物資の劣化です。 非常食や飲料水、医薬品は、過酷な温度変化にさらされると、賞味期限内であっても変質したり、パッケージが破損したりすることがあります。

      夏場は高温になりやすく、食料・電池・医薬品などの劣化リスクが高まることもあり、電池の液漏れやプラスチックの劣化のリスクも出てきます。 

      LOGI FLAGのような物流施設では、備蓄エリアにも断熱材や適切な換気設備を備え、一年を通じて安定した環境で物資を守る品質管理がなされています。

      アクセス性と搬入・搬出のしやすさ


      災害時はエレベーターが停止する可能性が高いため、階段で物資を運べるか、通路に荷物が溢れていないかといった動線の確保が重要です。

      また、外部からの支援物資を受け入れる際のトラックの着岸しやすさ(接車バースの利便性)も見落とせないポイントです。夜間の停電時でも場所がわかるよう、蓄光塗料や反射材による誘導表示をあらかじめ施しておくことも必要です。

      備蓄品の管理と定期的な見直し

      備蓄品の管理と定期的な見直し

      備えて終わりにしないための、継続的な運用体制を構築しましょう。

      賞味期限・消費期限のチェックとローリングストック


      「いつの間にか期限が切れていた」という失敗を防ぐため、ローリングストックの考え方を取り入れます。これは、日常的に使う物資を少し多めに備え、使った分を買い足す方法です。 

      備蓄倉庫の場合、期限が残り1年になった食料を従業員に配布したり、社内イベントで消費したりして、常に新しいものに入れ替えるサイクルを仕組み化します。これにより、廃棄ロスを減らしつつ、常においしい非常食を確保できます。

      在庫管理システムと定期点検


      近年備蓄品の管理もデジタル化が加速しています。クラウド型在庫管理システムを活用することで、各拠点の備蓄状況や賞味期限を一括管理し、期限が近づくと自動でアラートが出る運用を行っている導入例もあります。

      定期点検は年2回程度の棚卸しと合わせて実施し、非常用電源の始動確認、簡易トイレの袋の劣化、電池の液漏れなどを目視で確認します。これらを防災訓練の一環として行うことで、従業員の防災意識の向上にも繋がります。

      まとめ

      備蓄倉庫は、災害時に従業員の安全を確保し、事業継続を支える重要な基盤です。その実効性を高めるためには「どれだけ備えるか」という備蓄量の設計と「どこにどう保管するか」という倉庫環境の整備を一体で考えることが欠かせません。

      本記事で解説したように、備蓄量は想定人数や日数から算出し、それに応じた保管スペースや設置場所を確保する必要があります。さらに、定期的な点検や在庫管理を行い、常に使える状態を維持することも重要です。

      自社の状況に合わせて必要な備蓄量と倉庫設計を見直し、実際の災害時に機能する備蓄体制を整えましょう。

      編集・監修

      コールドクロスネットワーク編集部

      物流・倉庫業界の実務知識を発信する編集チームです。サプライチェーン領域の専門家、実務経験者、ライターの皆様に助けられながら、 「物流から世界をもっと便利に変える」を共に目指しています。

      編集委員

      高田 直樹

      株式会社ロジバード 代表取締役・元物流weekly東京本社社長

      物流事業の実務、経営に精通し、現場視点から本メディアの編集方針を監修。

      編集委員

      鈴木 邦成

      物流エコノミスト・日本大学特任教授/博士(工学)・日本ロジスティクスシステム学会理事・日本SCM協会会長

      物流、ロジスティクス工学の専門家として、記事内容の学術的正確性を監修。

      注:本記事は編集委員の監修のもと作成していますが、掲載情報は執筆時点のものです。法令・制度の改定や市場環境の変化により内容が変わる場合があります。個別の判断については、専門家または関係機関へのご確認を推奨します。

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        最終更新日 2024年7月17日

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