固定ロケーションは、商品ごとに専用の保管場所を固定するため、作業者がスムーズに在庫を見つけられ、入出庫ミスの防止につながります。一方、スペース効率が低下するデメリットもあり、運用には工夫が必要です。
本記事では、固定ロケーションの仕組みやフリーロケーションとの違い、メリット・デメリット、運用のポイントを解説します。
固定ロケーションとは

固定ロケーションとは、倉庫や物流センター内で、特定の商品をあらかじめ決められた場所に保管する在庫管理方式のことを指します。
この方式では、各商品に専用の保管場所が割り当てられるため、作業者はその場所を記憶しやすく迅速に在庫を見つけることが可能です。入出庫作業がスムーズに進むだけでなく、誤出荷や在庫の取り間違いといったミスを防ぐ効果も期待できます。
固定ロケーションは、在庫が安定している商品や出荷頻度が高い商品に適しています。作業者が特定の場所を覚えることで効率的な作業が実現し、全体の生産性も向上します。
しかし、固定ロケーションにはスペース効率が低下するというデメリットも存在します。特に需要の変動が激しい商品に対しては、柔軟な対応が難しくなることがあります。
固定ロケーションとフリーロケーションの違い
固定ロケーションとフリーロケーションは、在庫管理で採用される代表的な2つの方式です。
固定ロケーションは、特定の商品をあらかじめ決められた場所に保管する方式で、各商品に専用の保管スペースが割り当てられます。作業者は商品を迅速に見つけることができ、入出庫ミスを減少させることが可能です。
一方、フリーロケーションは商品の保管場所を固定せず、在庫の状況や出荷の頻度に応じて柔軟に保管場所を決定する方式です。スペースを効率的に活用できるため、需要の変動に応じた迅速な対応が可能です。
しかし、作業者は商品を探す際に時間がかかることがあり、在庫の把握が難しくなる場合もあります。
固定ロケーションは安定した管理を提供する一方で、フリーロケーションは柔軟性を重視したアプローチです。企業のニーズや在庫の特性に応じて、どちらの方式が適しているかを検討することが重要です。
固定ロケーションのメリット

ここからは、固定ロケーションのメリットを3つご紹介します。
保管場所を覚えやすい
固定ロケーションの最大の利点は、保管場所を覚えやすい点です。商品ごとに専用の保管場所が決まっているため、作業者は特定の商品がどこにあるのかをすぐに把握できます。
作業者が保管場所を記憶しやすいことで、入出庫作業の効率が向上し、ミスを減少させることが可能になります。新しいスタッフやアルバイトにとっては大きな助けとなるでしょう。
また、固定ロケーションでは商品が常に同じ場所に保管されるため、在庫の確認や補充作業もスムーズに行えます。在庫管理の精度が向上し、必要な商品を迅速に取り出すことができるため、顧客へのサービス向上にも寄与します。
在庫数を把握しやすい
固定ロケーションのメリットの一つに、在庫数を把握しやすい点が挙げられます。商品ごとに専用の保管場所が決まっているため、作業者は特定の商品がどこにあるのかをすぐに確認でき、在庫状況も一目で把握できるようになります。
在庫数の把握が容易であることは、発注や補充のタイミングを逃さないためにも重要です。例えば特定の商品が一定の在庫数を下回った場合、すぐに補充を行うことで欠品を防げます。
さらに、固定ロケーションでは在庫の動きが明確になるため、過剰在庫や不足在庫のリスクを軽減できます。在庫管理にかかるコストを削減し、効率的な運営も可能となるでしょう。
システム導入が必須ではない
固定ロケーションのメリットの3つ目は、在庫管理に特別なシステムを導入する必要がない点です。
多くの企業では在庫管理システムを使用することで効率化を図っていますが、固定ロケーションではシンプルな管理方法が可能です。この方式は、特に小規模な倉庫や在庫数が少ない企業にとっては非常に有効です。
複雑なシステムを導入することなく手作業での管理や簡単なスプレッドシートを用いることで、十分に在庫管理を行うことができます。初期投資を抑えつつ、運用コストも低く抑えることが可能です。
ただし、固定ロケーションの運用には作業者の教育やルールの徹底が求められます。商品が決まった場所に保管されていることを前提に作業が進むため、作業者がそのルールを理解し遵守することが重要です。
システムに頼らない分、人的なミスが発生するリスクも高まる可能性があり、定期的なチェックや見直しも必要となるでしょう。
固定ロケーションのデメリット

固定ロケーションにはデメリットも存在します。詳しく見ていきましょう。
スペース効率が低下する
固定ロケーションの在庫管理方式には、スペース効率が低下するというデメリットがあります。各商品に専用の保管場所を設けるため、倉庫内のスペースが最適に活用されないことが原因です。
特に、商品の入出庫頻度が低い場合や季節商品などの一時的な在庫が多い場合には、固定された場所に商品を保管することで空いているスペースが無駄になってしまうことがあります。
また、固定ロケーションでは商品のサイズや形状に変化が生じたとしても柔軟な配置が難しく、倉庫内のレイアウトが固定化されてしまいます。在庫の増減に応じたスペースの調整もしづらく、結果として倉庫の運用効率が低下することがあります。
需要の変動が激しい業界では、固定ロケーションの運用が逆に負担となることも考えられるでしょう。
需要変動に対応しづらい
固定ロケーションの在庫管理方式は、需要変動に対して柔軟性に欠けるというデメリットがあります。例えば季節商品やトレンド商品など、需要が急激に変化する商品に対しては固定された保管場所が逆に足かせとなることがあります。
需要が高まった際に、固定ロケーションではその商品を迅速に補充することが難しかったり、他の商品が占有しているスペースのために必要な在庫をすぐに取り出せなくなったりする場合があります。
このような状況では出荷の遅延や在庫切れが発生し、顧客満足度の低下につながる恐れがあります。
さらに、需要が減少した場合には、固定ロケーションにより空いているスペースが無駄に占有されることになります。倉庫全体のスペース効率が悪化し、他の商品を保管するための柔軟な対応が難しくなるでしょう。
在庫の偏在が起こりやすい
固定ロケーション方式では、特定の商品があらかじめ決められた場所に保管されるため、在庫の偏在が発生しやすいというデメリットがあります。
これは、特定の商品が頻繁に出荷される場合、その商品が保管されている場所に在庫が集中し、他の商品が置かれている場所には在庫が少ないという状況を引き起こすことがあるためです。
このような偏在は、在庫管理の効率を低下させ、必要な商品を迅速に取り出すことが難しくなる原因となります。
また、需要の変動に応じて在庫を柔軟に移動させることができないため、特定の商品が急に売れた場合には他の場所から在庫を移動させる手間が増え、作業効率が悪化することも考えられます。
出荷作業の遅延や在庫切れのリスクが高まる可能性も否めません。このような在庫の偏在を防ぐためには、定期的な在庫の見直しや出荷頻度に基づいたゾーニングの見直しが重要です。
固定ロケーションで管理する際のポイント

固定ロケーションでの在庫管理を効果的に行うためには、下記のポイントを押さえることが重要です。
出荷頻度に応じて効率的にゾーニングする
固定ロケーションを効果的に運用するためには、出荷頻度に基づいたゾーニングが重要です。例えば、頻繁に出荷される商品を倉庫の入り口近くに配置することで移動距離を短縮し、作業時間を削減することが可能です。
一方、出荷頻度が低い商品は倉庫の奥やあまり使用されないエリアに配置することで、スペースを有効活用できます。
さらに、定期的に出荷データを分析しゾーニングを見直すことも重要です。需要の変動に応じて商品の配置を柔軟に変更することで、常に効率的な在庫管理を維持することができます。
SKUごとに標準占有量と補充基準を設定する
固定ロケーションでの在庫管理を効率的に行うためには、SKU(Stock Keeping Unit)ごとに標準占有量と補充基準を明確に設定することが重要です。SKUとは、商品の受発注や在庫管理を行う際の最小管理単位です。
また、標準占有量とは、特定の商品が保管場所に占める理想的なスペースのことを指します。商品ごとに異なるサイズや形状があるため、SKUごとに適切な占有量を見極めることが必要です。
補充基準は、在庫がどの程度減少した時点で新たに商品を補充するかを決める基準です。この基準を設定することで在庫切れを防ぎ、スムーズな出荷を実現できます。
例えば、出荷頻度が高い商品には早めの補充基準を設定し、逆に出荷頻度が低い商品には余裕を持った基準を設けることで、効率的な在庫管理が可能になります。
このように、SKUごとに標準占有量と補充基準を設定することで、固定ロケーションのメリットを最大限に引き出し在庫管理の精度を向上させることができます。
定期的にこれらの基準を見直すことも忘れずに行い、変化する需要に柔軟に対応できる体制を整えることが大切です。
オーバーフロー対応ルールをあらかじめ決めておく
固定ロケーションでの在庫管理において、オーバーフロー対応ルールを事前に設定しておくことは非常に重要です。
オーバーフローとは、特定の商品が予想以上に入荷した場合や、出荷が遅れた場合に指定された保管場所に収まりきらなくなる状況を指します。このような事態が発生すると、在庫管理が混乱し作業効率が低下する恐れがあります。
まず、オーバーフローが発生した際の一時的な保管場所をあらかじめ決めておくことが必要です。この場所は、通常の保管場所とは異なるとしても作業者が容易にアクセスできる位置に設定することが望ましいでしょう。
また、オーバーフロー商品には特別なラベルを付けることで、他の在庫と混同しないように工夫することも重要です。さらに、オーバーフローが発生した際の対応手順を明確にしておくことで、作業者が迅速に行動できるようになります。
例えば、オーバーフローが発生した場合には、どのように在庫を移動させるのか、またはどのタイミングで元の保管場所に戻すのかを定めておくと良いでしょう。これにより在庫の管理がスムーズに行われ、業務の効率化が図れます。
番地ルールと表示方法を統一して分かりやすくする
固定ロケーションでの在庫管理を効率的に行うためには、番地ルールと表示方法を統一することが重要です。番地ルールとは、商品の保管場所を示すための一貫した命名規則のことを指します。
このルールを明確にすることで、作業者はどの場所にどの商品が保管されているかを迅速に把握できるようになります。
例えば、倉庫内の各エリアに番号やアルファベットを付与し、特定の商品に対してその番号を割り当てることで視覚的にわかりやすい管理が可能になります。
また、表示方法も統一することで、作業者が迷うことなく目的の場所にアクセスできるようになります。ラベルやサインのデザイン、フォント、色使いを統一することで視認性が向上し、作業効率が大幅に改善されるでしょう。
定期的にレイアウトと在庫精度を見直す
固定ロケーションを効果的に運用するためには、定期的なレイアウトの見直しと在庫精度の確認が不可欠です。
倉庫内のレイアウトは、商品の入出庫頻度や季節的な需要の変動に応じて最適化する必要があります。例えば、出荷頻度が高い商品をアクセスしやすい場所に配置することで、作業効率を向上させることができます。
また、在庫精度の見直しも重要です。定期的に在庫の実数とシステム上の数値を照合し、誤差を把握することで在庫管理の信頼性を高めることができます。誤った在庫情報は出荷ミスや過剰在庫の原因となり、結果的にコストの増加を招くことになります。
さらに、レイアウトや在庫精度の見直しは、チーム全体での意識向上にもつながります。定期的なレビューを行うことで作業者が自らの業務を見直し、改善点を見つける機会を提供できるでしょう。
まとめ
固定ロケーションの最大の利点は、保管場所が明確であるため作業者が迅速に在庫を見つけやすく、入出庫ミスを防ぐことができる点です。また、在庫数の把握が容易でありシステム導入が必須ではないため、比較的簡単に運用を始めることができます。
しかし、需要の変動に柔軟に対応しづらいことや、在庫が特定の場所に偏るリスクも考慮する必要があります。運用にあたっては、出荷頻度に応じたゾーニングや、SKUごとの標準占有量の設定、オーバーフロー対応ルールの策定など、効率的な管理が求められます。
固定ロケーションの特性を理解し適切な運用方法を実践することで、在庫管理の効率を最大限に引き出すことができるでしょう。
また、ロケーション管理は、自社で設計・改善するには時間と専門知識が必要です。外部の物流パートナーに委託することで、ロケーション設計や在庫管理をまるごと任せる選択肢もあります。
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