2024年問題をきっかけに顕在化した輸送力不足を背景に、2026年問題を見据えた構造対応策の一つとして、共同配送が注目されています。「自社だけで効率化を進めるのは難しい」と感じている担当者も多いのではないでしょうか。
本記事では、共同配送の仕組みやメリット・デメリット、採用される方式、導入までの流れを分かりやすく解説します。
共同配送とは?複数企業の荷物をまとめて配送する仕組み

共同配送とは、複数の企業がそれぞれの荷物を一つの配送ルートでまとめて運ぶ仕組みを指します。ここでは、共同配送について具体的に解説します。
共同配送の基本概念と仕組み
共同配送とは、複数の企業がそれぞれの荷物を同一の配送ルートやトラックに集約し、協力して輸送を行う仕組みです。各社が個別に配送するのではなく、配送先やエリアが重なる荷物をまとめて運ぶことでトラックの積載率を高め、輸送効率の向上を図ります。
導入にあたっては、参加企業が配送頻度や納品条件などの情報を共有し、共通の配送ルートやスケジュールを調整します。空車や空きスペースの発生を抑え、無駄な輸送を減らすことが可能です。
また、配送の集約化によってトラックの稼働率が向上し、結果として物流全体の効率化や環境負荷の低減にもつながる点が特徴とされています。
2024年問題・ドライバー不足・CO2排出量削減義務との関連
物流業界では、2024年4月から適用された時間外労働の上限規制、いわゆる「2024年問題」により、トラックドライバーの労働時間が年間960時間と制限され、輸送力の低下が懸念されています。これに加え、慢性的なドライバー不足も深刻な課題となっています。
こうした状況を受け、配送の効率化や輸送回数の削減が求められる中で、共同配送は有効な対応策の一つとされています。
また、輸送効率の向上は走行距離や台数の削減につながり、結果としてCO₂排出量の抑制にも寄与するとされています。環境負荷低減への対応が求められる企業にとっても、共同配送は検討価値のある手法といえるでしょう。
共同配送の対象となる主な商材・業界
共同配送は、配送効率の向上が求められるさまざまな商材や業界で活用されています。代表的なのが食品業界で、冷蔵・冷凍品など温度管理が必要な商品を、複数のメーカーや小売事業者が協力して配送するケースが見られます。
日用品や雑貨、EC関連商材の分野でも導入が進んでいます。少量多品種の配送が増加する中、共同配送により積載効率を高め、配送コストの抑制やリードタイムの安定化が期待されています。
建材や工業製品など、重量や体積が大きい商材を扱う業界でも共同配送は有効です。単独配送ではコスト負担が大きくなりがちな商材でも、複数企業で輸送を集約することで効率的な物流体制を構築することが可能とされています。
共同配送のメリット

共同配送には、物流コストの抑制や環境負荷の低減、配送体制の安定化といった複数のメリットがあります。ここでは代表的な利点を3つご紹介します。
配送コストの削減と積載効率の向上
共同配送の大きなメリットの一つが、配送コストの削減と積載効率の向上です。複数の企業が荷物をまとめて輸送することで、トラックの空きスペースを有効活用でき、1回あたりの輸送効率を高めることができます。
少量の荷物を頻繁に配送する企業では、単独配送では非効率になりやすいケースも少なくありません。共同配送を活用することで輸送回数の削減や積載率の向上が図られ、燃料費や人件費といった物流コストを分担しやすくなります。
環境負荷の低減(CO₂削減)
共同配送は、物流に伴う環境負荷の低減にも寄与するとされています。複数企業の荷物を集約して配送することでトラックの稼働率が向上し、走行距離や配送台数の削減が期待できるためです。
共同配送を利用すれば、同じ量の荷物を輸送する場合でも、燃料消費量の抑制やCO₂排出量の低減につながる可能性があります。また、配送先やエリアが重なる荷物をまとめることで、無駄な輸送を減らし効率的な運行計画を立てやすくなる点もメリットです。
リードタイム短縮・配送品質の安定化
共同配送の導入により配送体制の効率化が進み、リードタイムの短縮や配送品質の安定化が期待できます。配送ルートやスケジュールを複数企業で調整することで、無駄な移動が減り、より効率的な輸送計画を立てやすくなります。
また、トラックの稼働率が高まることで安定した運行が可能となり、納期の予測精度が向上する点も特徴です。荷主側は一定の配送リズムを確保しやすくなり、取引先との調整の負担軽減につながるでしょう。
配送業者にとっても安定した取扱量が見込めるため、運行管理や設備投資を計画的に進めやすくなります。結果として、サービスの品質維持や向上につながる可能性があります。
共同配送のデメリットと導入時の注意点

共同配送には多くの利点がある一方で、導入時には運用面やリスク管理に関する注意点も存在します。ここでは、共同配送のデメリットと導入時に注意したいポイントについて解説します。
配送スケジュール調整の難しさ
共同配送における課題の一つが、配送スケジュールの調整です。複数の企業が参加することで納品先や納期、出荷頻度などの条件が異なり、全体のスケジュール調整が複雑になりやすいためです。
特に、納期厳守が求められる商材や、各社の業務フローが大きく異なる場合には、調整に時間を要することが予想されます。また、出発地点や配送ルートを最適化する過程で、個別要件への対応が難しくなるケースも考えられるでしょう。
ドライバーの労働時間や休憩時間の管理も含めて運行計画を立てる必要があり、想定外の遅延が発生する可能性も否定できません。共同配送を円滑に進めるためには、事前に条件をすり合わせ、無理のないスケジュール設計を行うことが大切です
事故リスク・破損リスクの共有
共同配送では複数の企業の荷物を同一車両で輸送するため、配送中に事故やトラブルが発生した場合にどの荷物にどの程度の影響が及んだのか、責任の所在が分かりにくくなることがあります。
特に壊れやすい商品や温度管理が必要な商材を扱う場合は、積み合わせや取扱方法によって破損リスクが高まる可能性があります。
荷姿や積載方法に関するルールは、あらかじめ定めることが大切です。事故や破損が発生した際の対応方針や責任分担について、参加企業間や配送業者との間で事前に合意しておき、トラブルの発生や対応の長期化を防ぎましょう。
商流や温度帯の違いによる制約
共同配送を検討する際には、商流や温度帯の違いが制約となる場合があります。異なる業種や商材を扱う企業が共同で配送を行う場合、それぞれに求められる管理条件や取引特性が異なるためです。
例えば、食品のように鮮度や温度管理が重要な商材と、常温で問題のない雑貨や衣料品では、必要とされる管理水準に大きな差があります。この違いにより、同一車両や同一ルートでの配送が難しくなるケースもあります。
また、需要が安定している商材と季節性や販促施策に左右されやすい商材では、配送頻度やタイミングに差が生じやすく、共同配送の効率が低下する可能性も考えられます。商流や温度帯が近い企業同士での組み合わせを検討することが、円滑な運用につながるでしょう。
共同配送の主な方式

共同配送にはさまざまな方式が存在し、それぞれの企業のニーズや商材に応じて選択されます。ここでは、代表的な共同配送の方式について詳しく解説します。
エリア共同配送
エリア共同配送は、特定の地域内で複数の企業が協力し、配送先が近い荷物をまとめて輸送する方式です。同一エリアに向かう荷物を集約して配送することでトラックの積載率を高め、配送効率の向上を図ることができます。
この方式は近隣の小売店や飲食店など、配送エリアが重なりやすい事業者に適しています。各社が個別に配送する場合と比べて配送回数や走行距離を抑えやすく、結果として物流コストの削減につながります。
また、地域内での配送に特化することで、ルート設計が比較的シンプルになり、都市部に多い交通渋滞や駐車制約への対応を検討しやすい点も特徴です。
商材別共同配送
商材別共同配送は、商品特性が近い商材を扱う企業同士が協力し、同一条件で配送を行う方式です。温度帯や取扱方法が共通している荷物をまとめることで、効率的な輸送体制を構築しやすくなります。
例えば、冷蔵・冷凍が必要な食品を扱う企業が共同で配送を行うことで、温度管理を徹底しながら輸送コストの分担が可能になります。商材の特性に合わせた車両や設備を活用できる点も、この方式の特徴です。
また、商材別に配送ルートやスケジュールを設計することで、積載効率の向上や品質維持が期待できます。
センター共同配送
センター共同配送は、複数の企業が共通の物流拠点(配送センター)に荷物を集約し、そこからまとめて配送を行う方式です。各社が個別に配送するのではなく、拠点で積み合わせを行うことで輸送効率の向上を図ります。
配送センターに集められた荷物は配送先やエリアごとに仕分けされ、最適なルートで出荷されるため、走行距離や配送回数の削減が期待できます。
都市部では交通渋滞や駐車制約といった課題が多くあります。センターを起点とした配送により、運行管理を一元化しやすくなる点も特徴です。
共同配送の導入から運用までの流れ

共同配送を導入する際は、事前準備から運用設計まで、段階的に検討を進めることが重要です。適切なステップを踏んで、効率的な共同配送を実現させましょう。
現状分析と配送課題の整理
共同配送を検討する前に、自社の配送状況を把握し課題を整理しておくことが重要です。配送頻度やコスト、リードタイム、積載率などを数値で確認することで、どこに非効率が生じているのかを把握しやすくなります。
例えば、配送コストが高止まりしている場合やドライバーの稼働率が低い場合には、その要因を洗い出すことが必要です。業界の動向や物流環境の変化を踏まえ、自社の立ち位置を確認することも判断材料となります。
共同配送パートナーの選定
共同配送を円滑に進めるためには、信頼できるパートナーの選定が欠かせません。まずは配送エリアや対応可能な商材、サービス範囲が自社のニーズに合っているかを確認しましょう。
共同配送の実績や運用経験があるかどうかも重要なポイントです。過去の事例や評価を参考にすることで、安定した運用が見込めるかを判断しやすくなります。
また、情報共有や進捗管理が必要となるため、配送管理システムやIT環境が整っているかも確認しておくと安心です。
料金体系や契約条件についても事前に整理し、役割分担や責任範囲を明確にしておくことで、長期的に協力しやすい体制を構築することができます。
配送ルート・荷姿・積載設計の最適化
共同配送の効果を高めるためには、配送ルートや荷姿、積載設計の見直しが欠かせません。複数企業の荷物をまとめて輸送する場合は出発地点や配送先を考慮し、無理のないルート設計を行うことで、走行距離や配送時間の削減につながります。
荷姿については、箱のサイズや形状を可能な範囲で統一することで積載スペースを有効活用しやすくなります。さらに荷物の重量や特性に応じた積載設計を行い、重心の偏りや荷崩れを防ぐ工夫も重要です。
こうした設計を丁寧に行うことで、安全性を確保しながら輸送効率を高め共同配送のメリットを最大限に引き出すことが可能になるでしょう。
まとめ
本記事では、共同配送の仕組みやメリット・デメリット、主な方式、導入から運用までの流れについて解説してきました。共同配送は複数企業が荷物を集約して輸送することで、物流効率の向上やコスト負担の軽減を図る手法です。
一方で、スケジュール調整やリスク管理といった注意点もあるため、自社の配送特性や商材に合った方式を選ぶことが重要となります。課題を整理したうえで適切に活用することで、持続的な物流体制の構築につなげることができるでしょう。