人手不足や2024年問題、EC市場の拡大など、物流現場にはかつてない変化と課題が押し寄せています。「ドライバーが足りない」「再配達が増えて現場が回らない」といった悩みを抱えている方もいるでしょう。
本記事では、物流業務を効率化すべき理由や実際に現場で取り組める効率化の方法、外部委託の活用メリットなどを解説します。
物流関連の業務効率化に取り組むべき理由とは
近年、物流業界はさまざまな課題に直面しています。特に、ドライバー不足は深刻な問題となっており、多くの企業がその影響を受けています。
ここでは、物流関連の業務効率化に取り組むべき理由について解説します。
ドライバーが不足しているから
物流業界において、ドライバー不足は深刻な問題となっています。特に、少子高齢化が進む日本では若い世代のドライバーが減少しており、現場での人手確保が難しくなっています。
この状況が、物流業務の効率化を急務とする理由の一つです。ドライバーが不足することで配送の遅延やサービスの質の低下が懸念され、顧客満足度にも影響を及ぼします。
また、ドライバー不足は単に人手が足りないという問題だけでなく、業務の負担が増加することにもつながります。残されたドライバーに過剰な負担がかかることで、労働環境が悪化し、さらなる離職を招く悪循環が生まれています。
効率化を進めることで、限られた人員でより多くの業務をこなすことが可能となり、ドライバーの負担を軽減することができます。具体的には、業務プロセスの見直しや、テクノロジーの導入による業務の自動化などが考えられます。
2024年問題により稼働時間に制限がかかったから
2024年問題とは、2024年4月から、トラックドライバーの時間外労働の上限規制が適用され、労働時間が厳格に制限されたこと等を指します。この改正により、ドライバーの労働時間が短縮され、物流業界全体に大きな影響を及ぼしています。
このような状況下では、限られた時間内での業務遂行が求められるため、物流業務の効率化が急務となります。例えば、配送ルートの最適化や荷物の積み込み作業の効率化など、業務プロセスを見直すことで、限られた時間内でもより多くの業務をこなすことが求められます。また、ドライバーの負担を軽減するためには、業務の自動化やデジタル化も重要なポイントです。
EC市場拡大により配達量が増加しているから
近年、EC市場は急速に拡大し、消費者の購買行動も大きく変化しました。特に、オンラインショッピングの普及により、商品の配達量は飛躍的に増加しています。このような状況から、物流業務の効率化がますます重要になっています。
EC市場の成長は特にパンデミック以降顕著であり、多くの企業がオンライン販売にシフトしています。その結果、配達の需要が急増し、物流業界はこれに対応するための体制を整える必要があります。
配達量が増えることで、ドライバーや車両の稼働率が高まり、現場の負担が増加することも懸念されます。
再配達が増加しているから
近年、再配達の増加は物流業界にとって深刻な問題となっています。EC市場の拡大に伴い、オンラインショッピングの利用が増える中で配達の需要が急増していますが、受取人が不在であることが多く再配達が必要になるケースが増えています。
再配達が発生することで、ドライバーの稼働時間が無駄に消費され、配送効率が低下します。また、再配達のために必要なコストも増加し、企業にとっては経済的な負担となります。
このような状況を改善するためには、物流業務の効率化が不可欠です。再配達を減少させるための取り組みとして、受取人とのコミュニケーションを強化し、配達時間の指定や受取場所の選択肢を増やすことが考えられます。
また、配達前に事前通知を行うことで、受取人が不在であるリスクを減らすことも重要です。
物流業務を効率化する方法とは
物流業務の効率化は、現代の物流現場において不可欠な課題となっています。ここでは、具体的な効率化の方法について解説します。
物流倉庫の位置を分散させない
物流業務の効率化を図る上で、倉庫の位置を分散させないことは非常に重要です。倉庫が複数の場所に分散していると、商品の管理や在庫の把握が難しくなり、運送コストや時間が増加する原因となります。
特に、配送ルートが複雑化することでドライバーの負担も増し、効率的な配達が難しくなります。
また、倉庫が集中していることで、在庫の回転率を高めることが可能になります。例えば、需要が高い商品を中心に配置することで迅速な出荷が実現し、顧客満足度の向上にもつながります。
さらに、倉庫の位置を一元化することで、物流管理システムの導入が容易になり、データの集約や分析が進むことでより戦略的な業務運営が可能となるでしょう。
ただし、広範囲配送やリードタイム短縮などを目的とした場合ではその限りではありません。
共同輸配送に取り組む
物流業務の効率化を図るための一つの有効な手段が、共同輸配送の導入です。共同輸配送とは、複数の企業が協力して同じルートで配送を行うことで、輸送コストを削減し、効率的な物流を実現する方法です。
共同輸配送の最大のメリットは、輸送コストの削減です。複数の企業が同じトラックを利用することで空車率を減少させ、効率的な運行が可能になります。
また、配送ルートの最適化が進むことで、時間の短縮にもつながります。これにより、企業はコストを抑えつつ顧客へのサービス向上を図ることができます。
さらに、共同輸配送は環境への配慮にも寄与します。トラックの稼働率が向上することで、CO2排出量の削減が期待でき、持続可能な物流を実現する一助となります。
特に、環境問題が重要視される現代において、企業の社会的責任を果たすためにも、共同輸配送は有効な手段と言えるでしょう。
一方で、積載条件やスケジュール調整が難しくなるリスクもあるため、協力企業との前もった認識合わせが重要になります。
現場での作業の見直しを行う
物流業務の効率化を図るためには、現場での作業プロセスを見直すことが不可欠です。まず、作業フローの分析を行い、無駄な動きや時間を特定することから始めましょう。
例えば、荷物の仕分けや積み込み作業において、作業員が移動する距離を最小限に抑えるためのレイアウト変更が考えられます。これにより作業効率が向上し、時間の短縮が期待できます。
また、作業手順の標準化も重要です。各作業員が異なる方法で作業を行うと、ミスや遅延が生じやすくなります。そこで明確なマニュアルを作成し、全員が同じ手順で作業を行うようにすることで、品質の向上と作業のスピードアップを図ることができます。
さらに、定期的な研修やトレーニングを実施することで、作業員のスキル向上を促進し業務の効率化を図ることができます。新しい技術や機器の導入に伴う教育も重要で、これにより作業の負担が軽減し、よりスムーズな業務運営が実現します。
DX化を進めていく
物流業務の効率化において、デジタルトランスフォーメーション（DX）の推進は欠かせない要素です。DX化は、業務プロセスのデジタル化を通じて、情報の可視化や迅速な意思決定を可能にし、全体の業務効率を向上させることが期待されます。
例えば、物流管理システム（WMS）やトラッキングシステムを導入することで、在庫状況や配送状況をリアルタイムで把握できるようになります。
さらに、AIやビッグデータを活用することで、需要予測や最適な配送ルートの選定が可能になります。これにより配送の効率が向上し、コスト削減にもつながります。また、従業員の業務負担を軽減することで、よりクリエイティブな業務に集中できる環境を整えることができます。
ただし、DX化を進めるには、単に新しい技術を導入するだけでは不十分です。組織全体での意識改革や、従業員への教育・研修も重要です。
新しいシステムやツールを効果的に活用するためには、従業員がその価値を理解し、積極的に活用できるようになる必要があります。
外部の企業にアウトソーシングする
物流業務を効率化するための一つの有力な手段として、外部の企業にアウトソーシングすることが挙げられます。特に、専門的な知識や技術を持つ企業に業務を委託することで、内部リソースを最適化し、効率的な運営が可能になります。
アウトソーシングを活用することで、物流業務の専門家によるサービスを受けられるため、業務の質が向上し、ミスやトラブルのリスクを軽減することができるでしょう。
さらに、EC市場の拡大に伴って季節やキャンペーンによる配達量が変動する中、外部の物流企業と連携することで、必要な時に必要なリソースを確保することができます。これにより、急な需要の増加にも迅速に対応でき、顧客満足度の向上にも寄与します。
なお、近年では預ける期間や荷物量など、需要に合わせて柔軟に利用できる冷凍保管サービスのニーズが高まっています。季節波動や短期・小ロット対応が求められる中、必要な期間・スペースだけを効率的に活用することが可能です。
コールドクロスネットワークでは、1日1パレットから利用可能な冷凍保管サービスを提供しています。柔軟な料金体系と、Webで完結するスムーズな運用体制により、ビジネスの成長や繁忙期にも対応可能です。
保管から配送までを一貫して支援し、変化する物流ニーズに合わせた効率的な運営を実現します。
物流業務を外部委託するメリットとは
物流業務を外部委託することには多くのメリットがあります。ここでは、物流業務を外部委託するメリットについて解説します。
物流業務の効率化ができる
物流業務を外部委託することで、業務の効率化が大きく進みます。専門の物流会社に委託すると、最適化された作業プロセスや高性能な物流管理システム、最新の自動化機器などを活用できるため、自社単独では難しい高効率な運用が可能になります。
また、共同輸配送といったスケールメリットのある手法も活用でき、コスト削減やリードタイム短縮にもつながる場合もあります。加えて、ドライバー不足や2024年問題などの外部環境にも柔軟に対応できる体制を整えられるのも魅力です。
こうした効率化は結果的に顧客満足度の向上にも寄与するでしょう。
物流コストを削減できる可能性がある
物流業務を外部委託することは、コスト削減の大きな手段となります。特に専門の物流企業に業務を委託することで、効率的な運営が可能になり、無駄なコストを抑えることができます。
外部の物流業者は、豊富な経験とノウハウを持っており、最適な配送ルートや方法を選定することで、運送コストを大幅に削減することが期待できます。
また、外部委託により、固定費を変動費に変えることができます。必要な時に必要なリソースを確保できるため、無駄な人件費や設備投資を避けることが可能です。
さらに、外部業者との契約により、スケールメリットを享受できる場合も多く、より低コストでのサービス提供が実現します。
コア事業に人員を割くことができる
物流業務を外部委託することの大きなメリットの一つは、企業がコア事業に人員を集中させることができる点です。物流業務は多岐にわたり、専門的な知識や技術が求められるため、企業内でのリソースを割くことが必要です。
しかし、外部の専門企業に委託することで、これらの業務を効率的に運営し、企業は本来のビジネスに注力することが可能になります。
例えば、物流業務を外部に委託することで、配送や在庫管理にかかる時間や労力を削減できます。その結果、営業やマーケティング、商品開発など、企業の成長に直結する分野に人員を振り向けることができ、競争力を高めることが期待できるでしょう。
繁忙期と閑散期に柔軟に対応できる
物流業務において、繁忙期と閑散期の変動は避けられない現象です。特に、EC市場の拡大に伴い、セールなどのイベントに応じて配達量が大きく変動することが多くなっています。このような状況において、外部委託を活用することで、企業は柔軟に対応することが可能になります。
繁忙期には、通常の業務量を超える注文が集中し、社内のリソースだけでは対応しきれない場合があります。
外部の物流企業に業務を委託することで、必要な時に必要なだけの人員や設備を確保できる体制を整えやすく、スムーズな配送を実現できます。顧客満足度を高めることにもつながるため、リピーターの獲得も期待できるでしょう。
一方で、閑散期には業務量が減少し、固定費が重くのしかかることがありますが、外部委託を利用することで必要な業務だけを依頼し、コストを抑えることが可能です。
まとめ
本記事では、物流業務を効率化するための具体的な方法や外部委託をする際に享受できるメリットについてご紹介しました。物流倉庫の位置を最適化し、共同輸配送を進めることで、コスト削減や業務のスムーズな運営が可能になります。
また、デジタルトランスフォーメーション（DX）を進めることで、業務の効率化が図れるだけでなく、競争力の向上にもつながります。
今後の物流業界は、ますます複雑化していくことが予想されますが、効率化に向けた取り組みを進めることで、持続可能な成長を実現することができるでしょう。
物流業務の効率化は、単なるコスト削減にとどまらず、企業全体の競争力を高める重要な要素であることを忘れずに、積極的に取り組んでいきましょう。
