冷凍・冷蔵倉庫の賃料は、保管する商品の種類や数量、立地条件などによって大きく変動します。賃料の計算方法には「坪単価」「パレット単価」「個建て単価」などさまざまな種類があります。
また、冷凍・冷蔵倉庫は温度管理が必要なため、光熱費が他の倉庫よりも高くなる点も考慮が必要です。
本記事では、冷凍・冷蔵倉庫の相場や計算方法、コスト管理のポイントについて詳しく解説します。ぜひ倉庫選びの際の参考にしてください。
冷凍・冷蔵倉庫の賃料(保管料)の相場とは

冷凍・冷蔵倉庫の賃料は、保管する商品の特性や数量、さらには倉庫の立地条件によって大きく異なります。
特に、首都圏では、1坪あたりの賃料が4,000円から7,000円程度が一般的な相場とされています。ただし、この価格帯は、倉庫の設備や温度管理の必要性、さらには周辺の市場状況によっても影響を受けるため、具体的な賃料を把握するには、複数の倉庫を比較することが重要です。
また、冷凍・冷蔵倉庫は温度管理が必須であるため、通常の倉庫に比べて光熱費(電気代)が高くなる傾向があります。そのため、賃料だけでなく、光熱費やその他の運営コストも考慮に入れる必要があります。さらに、商品の種類によっても保管料は変動し、例えば、冷凍食品と冷蔵食品では必要な温度帯が異なるため、それに応じた設備や管理が求められます。
このように倉庫を選ぶ際は、相場を理解したうえで、自社のニーズに最適な倉庫を選ぶことが重要です。
【種類別】物流倉庫の保管料単価の相場

冷凍・冷蔵倉庫の保管料は、保管する商品の種類や数量、倉庫の立地条件によって異なります。ここでは、物流倉庫の保管料単価の相場について、いくつかの主要な単価の種類を見ていきましょう。
パレット単価
冷凍・冷蔵倉庫における賃料の計算方法の一つに「パレット単価」があります。この方法では、保管する商品のサイズや形状に応じて、パレット単位で賃料を算出するものです。
パレット単価は、倉庫の立地や設備、温度管理の必要性によって異なります。例えば、首都圏の常温倉庫では、パレット単価は3,000円~5,000円程度が一般的ですが、冷凍・冷蔵倉庫ではその約2倍になるとされています。さらに地域や倉庫の条件によっては、これよりも高くなる場合もあります。
この計算方法のメリットは、保管する商品の量に応じて柔軟に賃料が変動するため、少量の商品の保管を希望する企業にとってコストを抑えやすい点です。ただし、大量の商品を保管する場合、パレット単価が割高になる可能性があるため、事前にしっかりと見積もりを取ることが重要です。
坪単価
坪単価は、倉庫の面積を基に算出される賃料の単位で、1坪あたりの賃料を示します。日本では、1坪は約3.3平方メートルに相当し、冷凍・冷蔵倉庫の場合、首都圏では4,000円~7,000円程度が相場とされています。
坪単価のメリットは、面積に応じたシンプルな計算が可能である点です。特に、多様な商品を保管する場合や、スペースの利用効率を重視する場合には、坪単価での賃料計算が適しています。また、倉庫の広さに応じて賃料が変動するため、必要なスペースを明確に把握しやすいという利点もあります。
ただし、坪単価には注意点もあります。例えば、冷凍・冷蔵倉庫は温度管理が必要であるため、光熱費(電気代)が保管料とは別請求となる可能性があります。。そのため、坪単価だけでなく、光熱費やその他の管理費用も考慮する必要があります。
個建て単価
個建て単価は、個々の商品のサイズに応じて賃料が決定される方式です。
この場合、保管料は「保管商品数×個建て単価」で計算されます。個建て単価のメリットは、商品の特性に応じた柔軟な料金設定が可能な点です。これにより、保管する商品の種類や数量に応じて、より適切なコスト管理が行えます。また、特定の商品ごとに専用のスペースを確保できるため、他の商品との混在によるリスクを軽減することができます。
一方で、個建て単価にはデメリットも存在します。一般的に需要期には、ほかの計算方法に比べて単価が高くなる傾向があり、大量の商品の保管をする場合にはコストがかさむ可能性があります。また、個別に契約を結ぶ必要があるため、手続きが煩雑になる点にも注意が必要です。
容積単価
冷凍・冷蔵倉庫の賃料を計算する方法の一つに「容積単価」があります。この方法は、保管する商品の体積に基づいて賃料を算出するもので、特に大きな商品や不規則な形状の商品を扱う際に有効です。
容積単価は、商品の容積(縦×横×高さ)に基づいて算出されるため、商品のサイズや形状に応じて柔軟に対応が可能です。これにより、特定の業種や商品のニーズに適した賃料設定が可能です。
容積単価のメリットは、商品の体積に応じた適正な料金が設定されるため、無駄なコストを抑えることができる点です。
ただし、容積単価には注意点もあります。誤った測定が行われると、予想以上の賃料が発生する可能性があります。
重量単価
冷凍・冷蔵倉庫の賃料の計算方法の一つに「重量単価」があります。この方法は、保管する商品の重量に基づいて賃料が決定されるため、特に重い商品を扱う場合に適しています。重量単価は、通常、1キログラムあたりの料金で設定され、商品の種類や特性に応じて異なることがあります。計算式は、保管料=商品の重量(kg)×重量単価で算出されます。
重量単価は、商品の保管スペースを効率的に利用できるため、倉庫の運営側にとってもメリットがあります。
一方で、重量単価にはデメリットも存在します。例えば、大量に保管する場合、総重量が増加することで賃料が高くなる可能性があります。また、商品の重量を正確に測定する必要があるため、管理が煩雑になることも考慮しなければなりません。
冷凍・冷蔵倉庫の費用の計算方法とは

冷凍・冷蔵倉庫の賃料は、さまざまな計算方法によって算出されます。主に用いられるのは「二期制・三期制」と「日割り」の2つの方法です。それぞれの計算方法には特徴があり、利用者のニーズに応じて選択することが重要です。詳しく解説します。
二期制・三期制
冷凍・冷蔵倉庫の賃料計算方法の一つに「二期制」及び「三期制」があります。この方法は、賃料を月単位で計算するのではなく、1カ月を上旬・中旬・下旬などに区切る方式です。
1カ月の保管料は、一般的に下記の計算方法で算出します。
<二期制>
一期(1日~15日)、二期(16日~31日)
(1期末保管在庫数+2期末保管在庫数+当月入荷総数)×保管料単価賃料
<三期制>
一期(1日〜10日)、二期(11日〜20日)、三期(21日〜31日)
(1期末保管在庫数+2期末保管在庫数+3期末保管在庫数+当月入荷総数)×保管料単価賃料
日割り
冷凍・冷蔵倉庫の賃料を日割りで計算する方法は、特に短期間の利用や一時的な保管が必要な場合に便利です。この計算式は、1日単位の保管数量×単価となります。例えば、月額賃料が60,000円の倉庫を10日間利用する場合、1日あたりの賃料は2,000円となり、合計で20,000円の費用が発生します。
計算方法別のメリット・デメリットとは

冷凍・冷蔵倉庫の賃料を算出する際には、ご紹介したように「二期制・三期制」と「日割り」が多く用いられますが、それぞれのメリット・デメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
二期制・三期制のメリット
二期制・三期制の最大のメリットは、1カ月を「上期・下期」の2つや「上旬・中旬・下旬」の3つの期間に分けることで一定の賃料計算ルールが適用されるため、賃料の予測がしやすい点です。これにより、倉庫の利用者はコストの見通しを立てやすく、予算管理がしやすくなります。
また、期間ごとに固定された賃料が発生することから、頻繁に入出庫を行わない長期保管向けの利用にも適しています。特に、繁忙期と閑散期の差が大きい業種では、一定のスケジュールで保管料が発生するため、コスト計算をシンプルにすることが可能です。
二期制・三期制のデメリット
二期制・三期制は冷凍・冷蔵倉庫の賃料を計算する際の一般的な方法の一つですが、いくつかのデメリットも存在します。
短期間の利用でも1期分の料金が発生するため、短期利用を考える際はコストが高くつく可能性があります。。
また、入出庫が頻繁に発生する場合、保管料が高額になる可能性があります。
日割りのメリット
冷凍・冷蔵倉庫の賃料を日割りで計算することにも、メリットがあります。
まず、1日あたりの保管数量に基づいて保管料を算出するため、必要な期間だけの費用を正確に把握できます。
例えば、短期間の保管が必要な場合、日割り計算を利用することで、無駄なコストを抑えることができます。
次に、日割り計算は柔軟性を提供します。長期契約を結ぶことなく、必要な時に必要なだけのスペースを確保できるため、急な需要の変動にも対応しやすくなります。特に、商品の入出庫が頻繁に行われる場合は、日割りの利用が効率的です。
日割りのデメリット
日割り計算には、いくつかのデメリットも存在します。
まず、日割り計算は短期間の利用に適している一方で、長期的に見るとコストが高くなる可能性があります。特に長期間の保管を予定している場合、日割りの料金が積み重なることで、最終的な費用が予想以上に膨らむことがあります。
冷凍・冷蔵倉庫の費用に関して押さえておくべきこととは

冷凍・冷蔵倉庫を利用する際には、単に賃料だけでなく、さまざまな要素を考慮する必要があります。ここでは特に重要な3つのポイントをご紹介しましょう。
温度管理が必要なので光熱費が他の倉庫よりかかる
冷凍・冷蔵倉庫を利用する際の大きな特徴の一つは、温度管理が必須であるため、冷却設備や空調システムが常に稼働しており、その結果として光熱費(電気代)が温度管理のない倉庫に比べて高くなる傾向があります。
電気代が賃料とは別請求になる倉庫も多いため。冷凍・冷蔵倉庫を選ぶ際には、賃料だけでなく、光熱費も含めた総合的なコストを見積もることが求められます。
立地によって料金は大きく変わる
冷凍・冷蔵倉庫の賃料は、立地条件によって大きく変動します。特に、都市部と地方では賃料の差が顕著です。首都圏や主要都市に位置する倉庫は交通の便が良く、顧客や仕入れ先へのアクセスが容易なため、需要が高くなります。その結果、賃料も高めに設定される傾向があります。
一方で、地方の倉庫は賃料が比較的安価であることが多いですが、交通インフラや市場へのアクセスが劣る場合があり、物流コストが増加する可能性があります。このため、立地選びは単に賃料だけでなく、全体のコストを考慮することが重要です。
冷凍・冷蔵倉庫を選ぶ際には、立地条件をしっかりと分析し、賃料だけでなく、物流全体の効率性やコストを考慮することが求められます。
扱う商品によって費用が異なる
冷凍・冷蔵倉庫の賃料は、保管する商品の種類によって大きく変動します。例えば、温度管理が厳しく求められる生鮮食品や医薬品などは、特別な設備や管理が必要となるため、賃料が高くなる傾向があります。
また、商品の形状やサイズも賃料に影響を与える要因です。大きなパレットでの保管が必要な商品は、スペースを多く占有するため坪単価が高くなる可能性があります。一方で、小さな商品を大量に保管する場合は、スペースを効率的に活用できるため、コストを抑えられることがあります。
さらに、商品の回転率も重要なポイントです。頻繁に出入りする商品は、倉庫の利用効率が高くなるため、賃料の負担が軽減されることがあります。一方で、長期間保管する商品は、倉庫の稼働率が低下し、結果的に賃料が高くなる可能性があります。
このように扱う商品によって冷凍・冷蔵倉庫の賃料は大きく異なるため、商品の特性を考慮し、適切な倉庫を選ぶことが重要です。
まとめ
冷凍・冷蔵倉庫の賃料は、商品の種類や数量、立地条件などさまざまな要因によって変動します。具体的な費用は倉庫の特性や契約条件によって異なるため、事前にしっかりと調査することが重要です。
また、賃料の計算方法には
・坪単価
・パレット単価
・個建て単価
などがあり、それぞれにメリットとデメリットがあります。特に、冷凍・冷蔵倉庫は温度管理が必要なため、光熱費が他の倉庫よりも高くなる傾向がある点にも注意が必要です。
倉庫選びでは、立地や商品の特性、さらには光熱費などの追加コストを総合的に考慮することが大切です。本記事を参考に、効率的な物流業務を実現させてください。
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