外国貨物とは、関税法に基づき、輸入許可を受ける前や輸出許可を受けた後に扱われる貨物を指します。具体的には、外国から日本に輸入される商品や、日本から外国へ輸出される商品が該当します。
内国貨物とは異なり、関税や消費税の課税対象となるため、特別な取り扱いが必要です。また、保管場所や流通にも制約があり、輸入手続きや輸出手続きの状況によって管理方法が変わります。
本記事では、外国貨物の定義や内国貨物との違い、保税地域との関係についてわかりやすく解説します。
外国貨物と内国貨物の違い

外国貨物と内国貨物は、関税法上で明確に区別される重要な概念です。主な違いは3つあります。
「輸出許可」と「輸入許可」が境目
外国貨物と内国貨物の大きな違いは、輸出や輸入の許可があるかどうかです。外国貨物とは、輸入の許可を受ける前や、輸出の許可を受けた後の荷物を指し、特別な扱いが必要です。
輸入の許可前の荷物はまだ正式に国内に入っていないため、関税や消費税はかからず、国内での流通も制限されます。また、輸出の許可後の荷物も外国貨物とされ、国内での保管や扱いは決まった条件のもとで行われます。
一方、内国貨物は国内で自由に流通や保管ができ、販売や使用にも制限はありません。そのため、外国貨物を扱う場合は、許可の有無をしっかり確認し、決められた手続きを守って管理することが大切です。
関税・消費税の課税状況が異なる
外国貨物と内国貨物の大きな違いの一つは、関税および消費税の課税タイミングです。外国貨物は、輸入許可を受ける前の状態であり、関税法上はまだ国内に正式に入っていないものとして扱われます。
そのため、外国貨物として保管・管理されている段階では、輸入申告が行われておらず、関税および消費税は確定していません。
一方、輸入手続きにおいて輸入申告が行われると、課税価格や税率に基づいて関税および消費税の額が確定します。これらの税金を納付することで輸入許可が下り、その時点で貨物は外国貨物から内国貨物へと切り替わります。
輸入許可後の内国貨物については、関税はすでに輸入許可前の段階で納付済みであるため、新たに関税が発生することはありません。以後、国内での流通や販売の過程においては、消費税のみが課税対象となります。
このように、関税は輸入申告から輸入許可までの過程で発生・確定・納付され、輸入許可のタイミングを境に免税・課税の区分が切り替わるため留意が必要です。
国内での流通・販売の可否
外国貨物は、内国貨物とは異なり、国内での流通や販売に関して厳しい制約があります。
具体的には、外国貨物は輸入許可を受けるまで、国内市場での販売や流通が禁止されています。このため、輸入手続きが完了し、正式に内国貨物として認められるまでは、商業活動に利用することができません。
一方で、外国貨物が保税地域に保管されている場合、特定の条件下での取り扱いが可能です。例えば、保税地域内では、外国貨物を加工したり、展示したりすることが許可される場合がありますが、これもあくまで保税地域内に限られ、外部への流通は依然として制限されています。
このように、外国貨物はその性質上、国内での流通や販売に関して多くの制約があるため、企業や個人が外国貨物を取り扱う際には、関税法や関連法規を十分に理解し、適切な手続きを行うことが求められます。
外国貨物を保管する保税地域とは

外国貨物を取り扱う際に重要な役割を果たすのが「保税地域」です。保税地域の役割や種類について解説します。
外国貨物は原則として保税地域以外に置けない
外国貨物は、関税法に基づき、その保管場所には厳格な制約があります。原則として、外国貨物は保税地域以外に置くことができません。これは、関税の徴収や輸入管理を適切に行うための措置であり、国内市場への不正流入を防ぐ目的があります。
保税地域とは、外国貨物が一時的に保管される場所です。この地域内では、貨物が輸入手続きや輸出手続きが完了するまでの間、関税等がされない状態で蔵置されます。
保税地域には、保税蔵置場や保税工場などがあり、それぞれ異なる機能を持っています。
保税地域外に外国貨物を置くことができないため、企業は輸入や輸出の際には、特殊な場合を除き保税地域を利用する必要があります。これにより、貨物の流通管理が徹底され、適切な税金の徴収が行われることが保証されます。
保税蔵置場と保税工場の役割
保税地域には、外国貨物を保管するための特別な施設が設けられています。その代表的なものが「保税蔵置場」と「保税工場」です。
これらの施設は、外国貨物が保管されることを可能にし、輸入許可に必要な検査や手続きに必要な検査等を行うことができます。
保税蔵置場は、外国貨物を輸入許可が下りるまで一時的に保管するための施設です。税関による検査や各種通関手続きが完了するまでの間、貨物を保税の状態で留め置くことができます。
これにより、企業は輸入許可のタイミングを柔軟に調整できるようになり、輸出入を継続的に行う事業者にとっては、関税納付の時期をコントロールしながら、コスト管理やキャッシュフローの最適化を図ることが可能となります。
保税工場は、外国貨物を加工・製造するための施設です。保税工場では、外国貨物を加工することができ、その結果生じた製品も保税のまま流通させることが可能です。これにより、企業は国内市場向けに製品を製造しながら、関税の負担を軽減することができます。
特定保税運送(保税のまま運ぶ)
特定保税運送とは、外国貨物を保税地域から他の保税地域へ、または保税地域から国内の特定の場所へ運ぶ際に、関税を支払うことなく運送することを指します。この制度は、輸入者や輸出者にとって非常に便利で、貨物の流通をスムーズにする役割を果たしています。
特定保税運送を利用することで、貨物が保税地域に留まることなく、必要な場所へ直接運ぶことが可能になります。
これにより、保税地域での保管コストを削減できるだけでなく、迅速な流通が実現します。特に、国際貿易においては、時間が重要な要素となるため、この制度は多くの企業にとって大きなメリットとなります。
ただし、特定保税運送を利用する際には、いくつかの条件や手続きが必要です。運送業者は、適切な許可を取得し、貨物の管理を行う必要があります。
外国貨物に関わる手続きの流れ

外国貨物の輸入・輸出には、それぞれ定められた手続きがあります。
輸入時:搬入から輸入許可まで
外国貨物が日本に輸入される際には、いくつかの重要な手続きが必要です。まず、貨物が日本の港や空港に搬入されると、輸入者はその貨物に対して必要な書類を準備しなければなりません。これには、インボイスやパッキングリスト、輸送に関する書類が含まれます。
次に、輸入者は税関に対して輸入申告を行います。この申告は、貨物が日本に到着した後、速やかに行う必要があります。税関は、申告内容を確認し、必要に応じて追加の書類や情報を求めることがあります。申告が受理されると、税関は貨物の検査を行い、問題がなければ輸入許可が下ります。
輸入許可が下りると、貨物は内国貨物として扱われ、国内での流通や販売が可能になります。ただし、輸入許可を得るまでの間、貨物は外国貨物として扱われ、保税地域に保管されることが一般的です。
輸出時:搬入から輸出許可まで
外国貨物を輸出する際の手続きは、搬入から輸出許可を得るまでの一連の流れが重要です。
まず、輸出する貨物が保税地域に搬入される必要があります。この搬入は、貨物が輸出のために適切に管理されるための第一歩です。保税地域に搬入された貨物は、関税の課税対象外となり、輸出手続きが進められます。
次に、輸出者は必要な書類を準備し、輸出申告を行います。この申告には、貨物の詳細や輸出先国、輸出者の情報などが含まれます。申告が受理されると、税関による審査が行われ、問題がなければ輸出許可が発行されます。
また、輸出許可を得るためには、貨物が輸出に適していることを証明するための書類や証明書が必要となる場合があります。これには、原産地証明書や衛生証明書などが含まれ、特に食品や医薬品などの規制が厳しい品目では重要な役割を果たします。
まとめ
本記事では、外国貨物の定義や内国貨物との違い、保税地域との関係、さらには手続きの流れについて解説しました。外国貨物は、輸入許可を受ける前や輸出許可を受けた後に関税法上で特別に扱われる貨物であり、その取り扱いには特有のルールが存在します。
内国貨物との違いは、許可の有無だけでなく、課税状況や流通の可否にも影響を及ぼします。また、外国貨物を保管するための保税地域についても触れました。保税地域は、外国貨物が原則として置かれる場所であり、保税蔵置場や保税工場などの役割が重要です。
これらの知識を持つことで、スムーズな取引が実現できるでしょう。外国貨物に関する理解を深め、適切な手続きを行うことが、ビジネスの成功につながります。